レミオロメン / モラトリアム

drkcs2005-01-13


さあ年明け早々にも今週は聞かねばならないリリースだらけで大変です。100sはびっしり聞き込んでからってことで、まずはレミから。久しぶりのリリースなんでその分期待大だったんですが、それをさらに越える力作。藤巻独特なメロはもちろん健在ですが、アップテンポで疾走する感じはメジャーデビュー前のフェスタやまめ電球といった出世作を思い出させます。ただし単なる焼き直しではないのはアレンジ力というか、構成力。もっと抽象的に言えば説得力か表現力。なんつうか、アーティストとしての「力」を身に付けつつあるんですわ。ま、これまでがメロディメイカー藤巻の才能が突出しすぎてたから、ってのもあるのかもしれないけど、その魅力を十分に色づけできる「バンド」としての力が付いたってことは、こりゃいよいよホンモノだなぁ、って感じがします。c/w2曲も、1曲目はそのまま両A面でも構わないくらいの佳作。さらに2曲目はもう1つのレミの魅力であるミディアムテンポナンバーの壮大感にさらに磨きがかかってます。こんなに力作揃いの上に来月にまたシングル出して再来月にアルバム出すんでしょ。むちゃくちゃ楽しみだなぁ。嬉しくなっちゃう(笑)。ただ、なんか、こういう形での成長を見てるとますますスピッツだよなぁ。「モラトリアム」なんて「宇宙」とか「新世界」とかいう歌詞まで出てきて、もろにハヤブサ時代のスピッツかも。ちょうどスーベニアと一緒に買ってきたんで聞き比べちゃうんだよな(笑)。

ASIN:B0006GB09I

クレイジーケンバンド / あぶく

drkcs2005-01-04


新しい文化を創るのは決して若者世代だけの特権ではない。しかし実際そうなりがちであるのは、若さが新しい発想を生むというより、重ねた経験が新しい発想を拘束するんだと思う。自分も年を重ねるごとに身にしみていくのは、何か考えるべき事項が出てきた時に、新しい考えが生まれてこないのではなく、これまでの経験の中から解決策がさっと出てきてしまうようになり、また、例えそれがベストではなくてもなんとなく乗り越えられるんだろうなって妥協する余裕まで出てきてしまう。だから苦労して新しい事にチャレンジする必然性がなくなってきてしまう。これを悲しい事だと捉えなくてはならないのだろうか。否。文化は常に新しいものである必要性はないのだ(と考えるのも妥協のなせる技かもしれないが)。

横山剣は決して新しい事にチャレンジしているわけではない。むろん、本人にとってはいろんなジャンルの音楽へチャレンジしているのかもしれないが、むしろ彼のこれまでの豊富な経験を音にしているだけで、音楽ジャンル的には革新ではない。しかし彼は革新家である。それは、そのスタイルにある。ロックというジャンルにおいて経験を武器に既成音楽を当たり前に作り出し、その上、これまた若者には出せない年齢相当のボーカル味を乗せていくという手法は、洋楽では当たり前のようにあるのだが、日本のロック界には何故か数える程しかいない。しかもそのほとんどが若い頃から名声を得て今日に至るものばかり。中にはアリスみたいに演歌に日和る輩までいる。

年輪を重ねたからこそ、経験を重ねたからこそ、できるロックがそこにはある。この「あぶく」は特にそれを痛感させられる。カッコイイとはなんぞや。俺も10年前ならこの曲を聴いてそんな風には思わなかっただろうな。

ASIN:B000657KHU

LOST IN TIME / あなたは生きている

drkcs2005-01-02


新年一発目に何の曲を持ってこようか、なんて気にして選んだわけではありませんが、この秋に発売されて以来、じわじわジワジワと心の定番ソングになってきたこの曲をご紹介。正確には夏前に出たアルバムからのシングルカット(バージョン違い)ってことで、ずっと前から聞いてはいたんですが、そんなにパンチがある曲ではなく、ま、佳曲って感じで聞き流してました。ところがどっこい、シングルカットされて改めて聞いてると、そんなありふれた曲じゃないのかも、って気がしてくるから不思議なもんです。海北大輔の説得力溢れた切なボーカルが繰り出すロストの真骨頂的バラード。特に洗練された言葉たちで紡がれた短い詩にぎゅっと詰め込まれた切ない情景群のすべてが、最後の「色々あるけど あなたは生きている」を修飾する構成は見事と言うしかない。

今年もいろいろあると思うけど、生きていきましょう。

ASIN:B00065VPOO

マボロシ / The ワルダクミ

drkcs2004-12-31


なぜ今年を締めくくる曲がこの曲なのか、まったく分かりませんが、雪ばっかりで退屈なんで、気持ちだけでもアツくいかねば、ってことで。普段はポップス〜ロックといった至ってフツウの音楽ばっかり聞いてますので、テクノほどではありませんが、ヒップホップというのもあんまり詳しくはないのです。が、いいものはいい。RhymesterMummy-Dこと坂間大介とSuper Butter Dogのギターリストである竹内朋康が組んだスーパーユニット”マボロシ(公式HPより)。最初は、SBDの竹内氏ってことで聞いてみたんですが、SBD顔負けのファンキーサウンドをベースに、Mummy-Dのラップと竹内のギターリフが交互に絡み合う様はまるで永遠に続くノリツッコミのようで楽しそうです。まさに音楽の異種格闘技戦。な割にはこんなジャンルあったよね、ってくらいハマってて、ちょっと聞いただけでは短期ユニットとは思えないのは、SBDが昔からライムのアルバムとかに参加してたからなんでしょうね。マボロシとしてのアルバムもそろそろ出てるはずなんで、聞いてみようかな。

ASIN:B0002ZEZ5Y

the band apart / RECOGNIZE ep

drkcs2004-12-25


秋頃は僕にとってhave to listenなアーティストのリリースが続いてたんですが、年末になってちょっとペースダウン。なもんで、完全な衝動買いをしてみました。the band apart。すいません、彼らについてまったく予備知識なしです。いわゆるジャケ買いってやつですか、つーか名前買い。限定&フィギュア付きなんて言葉にも騙されつつ。

ところがどっこい、メチャかっこいいですよ、この音。まぁ系統としてはsyrup16gを少し軽くした感じなんですが、ACIDMAN風な凝ったアレンジと曲中でのめくるめく展開に、男前な声質のvo.がフレーズ重視の英語詩でサラッと味付けしてます。syrupもそうなんだけど、その音のルーツがどこにあるんだろう、ってのが全く分かりません。てゆーか、すべての音楽がルーツなのかもしれません。いろんな音楽を摘み食いしたんだけど、結局どれにも縛られることなく、エッセンスだけ自分のものにして、使いたい時に自由奔放に使って好きな音楽を奏でる。そんな自由さを「楽しく」表現できてるな、って感じがします。syrup16gはいまいち「楽しく」とは感じないけどね(笑)(いやそこがいいんですよ)。

ともかく、聞いてから初めてネットで調べてみましたよ。あら、結構有名なんだ(恥)。バンアパ。なんか言いづらい略称だなぁ。
あら、しかも上で僕が書いてたようなことが、どのページにも書いてある。なーんだか、今更なブログになってしまった(大恥)。

ASIN:B0006GV88G

ゲントウキ / さらば!

drkcs2004-12-20


こんなレビュー書いてるだけあってたぶん人よりはたくさん音楽を聴いていて、ちょっとだけ耳年増なんだと思うんだけど、だからこそよくある音では飽き足らなくなってしまっていて、いつも刺激に飢えてるんです。だからいつも変わった新人はいないかなぁ、って探してしまうし、独創性というベクトルでの価値判断にウェイトが大きくなってしまう。自省を込めて言えば、そうなってしまうと客観的判断ができなくなってしまうんですよ。だからレビューって難しいんですよね。あまりに主観的になってしまうとそれはただの自慰行為だし、かといってあまりに客観的すぎるとちっとも面白くないわけで。だけど結局たかがブログのレビューだし、オナニーでいっか、ってなっちゃうんですけどね。

ゲントウキはそんな僕にとってとっておきのネタの一つです(笑)。なんでもっと売れないのか、客観的に考えればたくさん理由はあるんだろうけど、もう毒されちゃってるんで。あぁ、フェチって言えばいいのかな。ゲントウキが気持ちいいのは、音のクオリティーの高さ。彼らもまた山下達郎のようなポップスオタクなんだろうな。目指す音がはっきりしてるし、すでに完成されてしまっている。その完成度に毎度惚れ惚れしちゃうんだよなぁ。ただそういうバンドは得てして売れないんですよ。ROUND TABLE然り、NONA REEVES然り。僕自身も完成度の高いバンドも好きだし、まだまだ成長途中のバンドも好き。実力と人気の因果関係って複雑なんだろうな。

ASIN:B0002XVUKO

GOING UNDER GROUND / 同じ月を見てた

drkcs2004-12-19


なんかパンチ力落ちてきてやしないか? いや、もちろん曲も詞もアレンジも申し分なく相変わらずのハイクオリティーを維持してるんだけどさ。松本の声が、だいぶかすれてるように思えるんですけど。まぁもともとそこまで綺麗な声でもなかったけどさ。サビがパンチなく聞こえるのは確実に声のせいだなぁ。せっかくのいい曲がちょっと台無し。

ま、そこはとりあえずおいておいて、それを差し引いても十分いいなぁ。もうどこにでも転がってそうな純粋ラブソングなんだけどGOINGの魔法にかかるとその風景が目前に現れる。単に詩が叙情的ってんじゃなくて、独特なサウンドというオブラートで詩が丁寧に包み込まれてる感じ。詩より音が叙情的。音で風景を見せることができるバンドなんて今いくつあるんだろうな。

ASIN:B000666X5Y