小沢健二 / 刹那

drkcs2003-12-30


12月はだいぶ日記をさぼってしまいました。忙しいのもあったんだけど、11月に出るものは出きった感もあります。要するにネタ切れ。11月に怒濤に出てたアルバムを聞いて過ごしておりました。

そんな中、今年最後の日記となるでしょう、今日のお題は、今年を締めくくるにふさわしい、と言いたかった一枚。12月27日発売。小沢健二の新譜?です。

いやーやっと出ましたね。その間、いろいろとファンを騒がせてきました。夏前から「アルバム未収録集」が出るという噂が出て、9月発売予定から2度の発売延期とともに、収録曲もだいぶ変わり、アルバムの意図が変わってしまった感じがします。

前にも書いた事がありますが、小沢健二は、アルバム一枚ごとに全く別の世界観を作るアーティストです。パーフリ解散後、エレクトロポップに走った小山田君と全く逆のベクトルで静なるポップスを展開した1st通称「犬」。パーフリファンからは想像もできない程「王子様」としてブレークしてしまった集大成2nd「LIFE」。またまた一転、アコースティックジャズ風な自由奔放な音を奏であげた3rd「球体」。そして結局幻に終わった4th「オザケン海へ行く」。それから約4年間の沈黙の後、突如発売された最新作「Eclectic」では、日本には今までに全くないジャンルといっていい独特な世界を繰り出してくれました。

僕の目には「LIFE」はマイケルジャクソンのスリラーとかぶって見えてしまいます。収録曲は先からも後からもどんどんシングルカットされ、それらのシングルがまたどれもこれも売れてしまうため、結局アルバムとしての価値が逆に下がってしまった気がするんです。アルバムは通して聞けて、各楽曲の集合体として一つの世界が作られるんです。でも、一曲一曲が個々に歩き出してしまうと、集合体としての形を成し得くなってしまう。

ここからは僕の全く持って勝手な解釈であり、想像であることをあらかじめ断っておきます。小沢健二は、結果としてシングルメイカーとして認知されてしまう。その反動が3rdの全く別の方向転換であり、それでもシングルを多発しようとするレコード会社と小沢健二の対立が現在の寡作な状況を作り上げてしまったんではないでしょうか。そのためかどうか分かりませんが、これまでの楽曲の原盤はレコード会社から小沢健二が既に買い上げており、ベスト盤といえどもレコード会社は勝手には作れない状況です。

そんな中で突如発売が決まったこの「ベスト盤」。やはりレコード会社の当初の思惑とはだいぶ違ったものになりました。幻の4thに収録されるはずだった最後の4枚のシングルは、当初のリストには入っていたものの、最終的には今回の選曲からは外され、ほとんどが王子様時代の曲になってしまいました。しかも9曲という中途半端な曲数の上に、最後の曲は1曲目のカラオケトラック。ほんとに「アルバム」としての意図が全く見えません。「アルバムメイカー」である小沢君とは思えない。前述の通り、原盤を持ってるんですから、レコード会社だけの単独犯でないことは明らかです。

まぁ詳しい裏事情は分かりませんから、あんまりこういうことを憶測だけで書いちゃいけませんね。逆に好意的な考えで見てみると。最後の4枚を入れなかったということは、「オザケン海へ行く」はまだ発売の可能性があるってことじゃないですか!それはそれで嬉しいけど、何年待たせるんだ!!もう7年くらい経つぞ(笑)。

だめ押ししてくれたのはジャケット仕様。3種。レコード店で買ったときには全く気づきませんでした。ってくらい同じようなジャケット。これを3枚買えってか。これまでのシングル・アルバム全部持ってて個人的には新譜は全く入ってないんだぜ。勘弁してくれよ。せめてボーナスCDが違うとかなら3枚買ってたけどね(爆)。

「刹那」というタイトルだけが唯一の新しい小沢健二からのメッセージ。シングル乱発時代を自ら刹那的だと皮肉る彼は、今何を策略してるのか。でも次の展開はまた数年後なんだろうな。それまでは、当初のセットリストの「刹那」を自分でCD焼いて作って聞いて待ってます(笑)。

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