100s / OZ

drkcs2005-01-20


ここ一週間のオフタイムの99%を費やして聞き込んでおりますが、まだ魅力のすべてを感じ取れてないような感じがします。だけど、もうこればっかり聞いてるので書きたいことは山ほど溢れてきてて、逆に収拾つかない状態ですよ。いつも僕の駄文を紹介してくださっている(この場を借りてお礼:いしいさん、ありがとうございます。)「初めての音楽評には少しのエスプリを」でももうかなりOZ評も出てきてますが、予想通り賛否両論ってゆーか、みなさん困ってますね(笑)。そう、なんか面食らうんですよ。中村ファンもそうじゃない人も。

おそらく21曲70分の超大作なところがそう感じさせるんでしょうけど、実はOZは3枚のまったく違うミニアルバムが合体してるんですよ。それに気がついたとき(最初に気づけ)やっとなんか謎が氷解しました。ちゃんと短曲「OZ I」「OZ II」「OZ III」という区切りがあるじゃないですか。そして第一章は割と万人受けするポップなナンバーが並び、第二章は心を切りつけるような尖った楽曲、第三章はうって変わって癒し系な音で綴られているんですよ。それはまるでオズの魔法使いのお話のような典型的な御伽噺の構成と同じで、アルバム丸ごとひとつでストーリーが完結してるんですよ。それを踏まえて聞かないとなんか散漫な感じがしちゃうんですよね。そう考えると、まさにオズですよね。やさしいライオンは勇気をもらいにオズ大王(K-ing)に会いに行くわけで。

ま、そんな解析はどうでもいいんですが、問題は中村一義から100sってゆーのはどーよ?ってとこですよね、ファンとしては。これについては、どなたかも書いていたように、どの曲もすべて中村一義の範疇はやっぱり超えてないんですよ。あくまで彼の培ってきたフィールド。ただ変わったなぁと思うのは歌い方かなぁ。前にHoneycom.wareのときにも書いたけど、歌詞がさらに難解になってるし、聞き取り不可能。実は今回は「わざと」いまだに歌詞カードを一度も見ていません。いつも中村の歌詞見たさに最初から歌詞カード片手に聞いちゃうんだけど、その聞き取り不可能さをあえて体現すべく、歌詞カードなしで、なにを歌っているか分からないまま聞いてみようとしてます。なかば予想通りなんですが、中村の高音ボイスは見事にひとつの楽器として機能してますよね。初めてジュビリーを聞いたあの衝撃が蘇ってきます。話が逸れちゃったけど、100sってバンドはやっぱり「音」として進化する部分ってのは実はあんまり期待すべきところじゃないんじゃないかな。やさしいライオンのように中村以上に中村らしい曲を書くメンバーなんだもん、中村のこれ以上ない理解者たちですよ。中村の音を根本的に変えるんじゃなくて、中村のやりたい音を具現化できる連中なんですよ。MOTORWORKS東京事変とは違うんですよ。そのぶん中村に余裕ができて、彼はまたアーティストとしてさらに飛躍している気がします。アルバムとして懲りすぎてる気もしますが、逆を言えば最も緻密に計算高く狙って作られた今作を傑作と言わずして何と呼ぶんだ!って思うんですよ。一人ずつ頼れる旅仲間を増やしていってやっとエメラルドの国に辿り着いたっていう中村個人の「嬉しさ」がすごく伝わってきて、初期の悩める宅録青年の頃から中村を聞き続けてきたおっさんファンとしてはもう涙なくして聞けませんわ(大げさ)。

あーやっぱり散漫になっちゃったよ。しかもまだまだ全然書き足りない。続きはまた歌詞カードを見てから書こうかな。

ASIN: B0006M197U