スガシカオ / THE BEST HITS OF LIVE RECORDINGS―THANK YOU―
アルバムレビュー５日目。昨日からのライブ盤つながりってことで、今日はスガシカオです。
猫も杓子もベスト盤な昨今ですが、スガシカオはこれまでベスト盤を出してませんでした。たぶん、それは彼のポリシーだったんだと思います。
なんせ、彼はシングルヒットにも恵まれている方だと思いますが、それ以上にアルバムの完成度は毎回実に素晴らしい。最近まれに見る、アルバムを意識した曲作りのできるアーティストです。
だからこそ楽に売れればいいっていうようなベスト盤を頑なに拒否してきたんではないかと思うんです。前々作のアルバムなんかは、ある意味そういうベスト盤ブームをせせら笑ったようなアルバムでした。収録曲だけ見ると、ほとんどシングルのB面集なんですけど、ところがどっこい、これがアルバムとして完全に成立しているんですよ。というか、僕の中ではこれぞベストアルバム・オブ・スガシカオですよ。彼自身もそうなることを見越してB面収録曲を作ってきたと言うんですから、全くもって恐れ入ります。
ですから、いよいよベスト盤を出す、といってもただでは出さないわけですよ。出てきたのはライブ盤でのベスト。うーん、そうきたか、って感じ。まぁ、これを聞くまでもなく、彼のライブは、通常のリリース音源とはまた違った魅力があるってのはすでに知っていたので、「そうきたか」って思ったんです。
その魅力とは。ずばり「ファンク!、ファンク!、ファンク!」
独特の歌詞の世界や緻密な音作りってのが、通常音源でのよく知られたスガシカオの魅力ですけど、ことライブになると、彼のルーツであるばりばりのブラックミュージックでガンガン押しまくりになるんですよね。もちろんこのライブ盤もまさにそれ。いつものスガシカオを期待してベスト盤だと思って買うと、大間違い。そこでまた新しいスガシカオの素晴らしさを味わう羽目になる、という罠。またしても、どこまでも、計算高いアルバムです(笑)。
