蒼い鳥 / フジファブリック

drkcs2007-01-16


気まぐれどころか本人すら存在を忘れつつあるこのブログは、自己満足だけではどうしても物足りず、感動で溢れんばかりの衝撃を抑えられない時にだけ、その存在が潜在意識から不意に浮揚し、そして更新されます(謎)。

ま、そんだけヨカッタっつうわけですな。最近はお気に入りの曲にもちらほら出会えるんだけど、モーレツ感動てなぐらいの曲にはあんまり出会えませんね。レミやスキマなんかメジャーになっていい傾向なんだけどさ。佳曲なんですよ。あるいは秀曲。でも、もう新たな出会いではないんですよ。彼ららしさは十二分に感じるんだけど、もう、なんか親友みたいな感じで、新鮮さにはちと欠ける。そう、僕は常に新たな出会いを求めてるんです。未だかつて出会ったことのない衝撃。あるいは進化。そうきたか、そこまでいったか、てな。もちろん、その方向は自分の好みから外れてしまってはだめなんだけど、期待通りでもだめなのね。新鮮な心地よさ。すんごく我が儘だけど、それをどん欲に追い求めてるんで、もうそんなに感動に出会えないんですよ。20年以上も求め続けているとね。

なんて書いている内に、逆に書きたいことをほとんど伝えてしまいました。そう、そういう感動に出会えたんです。この曲で。ほんと久しぶり。

フジファブのこの新譜は限定10,000枚。その1/10,000を手に入れてみて大満足。これまでのフジファブの路線は周到しつつも、さらに何歩も進化してます。映画の主題歌ってことで、映画自体はよく知らないんだけど、一般の曲とは違う世界観の出し方をしています。古い表現で言えば実験的アレンジサウンド。おそらく映画の世界観を醸し出してるんでしょうけど、フジファブのもともと持っているおどろおどろしさや古臭さをエッセンスとして、だけど歌以外の部分も含めたトータルアレンジが一辺倒ではなくて、ストーリーのような展開も持たせている辺りが、映像世界の叙情表現を目的とした音楽に徹しています。だけど、もともと持っているフジファブの世界観から全く逸脱していないから、フジファブの新譜としても完璧に成立しています。映画のテーマ曲を意識した曲作りすると、アーティストの世界観からずれることがほとんどなんだけど、それらが両立していることに、すごく驚いてしまったんです。それが感動。

さらに何回も聞いてると、細かいアレンジの工夫に脱帽します。アレンジを幻想的にするために、すごく音色にこだわった音を組み合わせてるんだけど、そういう曲ってたいてい重厚になりすぎて、音が洪水になっちゃうんだけど、そうじゃない。音を厳選してるっていうか、これまで使っていた音数は増やさずに、音色自体を変えて、しかも展開と共にその音色が変化していく。その展開の動と静の切り替わりがすごく心地いい。曲自体はスローバラードで、そんなに展開してないんだけど、アレンジでここまでストーリー感を出せるってことに、また感動。

カップリングの「東京炎上」はどちらかといえばこれまでのフジファブサウンドの踏襲なんだけど、1曲目を聞いた後だからか分からないけど、同じ世界観ですんなり聞けます。つまりは、やっぱり1曲目の蒼い鳥も、あれだけアレンジが変わっていても、フジファブワールドを逸脱してないんですよね。

それが何故なのか、ってずっと考えながら聞いてると、やっぱり志村のVo.に答えがあるのかな、って気がします。彼の冷めていてだけど熱い独特な歌い方が強烈な個性を放っていて、それだけでもかなりのフジファブワールドを展開できるのかなぁ、って。ジョンレノントリビュートを聞いた時もそんんな感じを受けました。歌い方も曲調もこれだけ強い個性を持ったアーティストってなかなか出てこないんで、貴重な存在です。最近では、フジファブと音速ラインDOPING PANDAくらいかなぁ。

ASIN:B000KJTLLK